犬

犬が本当に犬になりやがった。

…然し、馬鹿だな。効果が解ってンのに何で飲むんだテメェは。
学習能力がねぇのか、それとも唯単に好奇心が旺盛なのか…——。

けど、犬耳と尻尾が生えたテメェもなかなか分かり易くて良かった。

別にあの侭でも悪くねぇな。…まぁ、直ぐに戻っちまぅんだろぅが。

…後は、バイトか。

まぁ、精々オカマに扱き使われて人生の厳しさを学んでこい。

薬

………——取り敢えず、後で四月一日は半殺しにしておこう。
木槿も共犯らしいから、殴っとくか。

なんだ、此は。

どうしてこんな事になるんだ。

なんで俺で試すんだ。

——巫山戯やがって（深々と溜息）

まぁ、朝起きたら元に戻ってたから良いけどよ。
それにしたって、変な薬ばっかり作ってんじゃねぇっての。

全く、俺の知り合いにまともな奴はいな…——居ねぇな、ちくしょぅ（遠い目）

犬二匹。

犬が犬拾って帰ってきやがった。
…や、違うな。客連れてきた、が正しいのか。
けど、犬みてぇな餓鬼だったから、あながち間違っても
いねぇんだろうけど。…何だ、いつから俺ン家は託児所になったンだ。

…ぁ？

手なんか出さねぇよ。人工呼吸器付けた餓鬼なんざに。
別に差別してる訳じゃぁねぇけど、俺ン家で逝かれても
始末が面倒だろぅが。——然し、最近出逢う輩はツクリモノが多いな。

今時チョコも食った事ねぇ餓鬼なんざ、居たんだな。

…食い物くらい、自由に食え。誰も咎めねぇから。
なんならあの狗親父に強請ってこい。…寧ろ盗んでこい。
有り金全部。止めねぇから。——ぁ？　色々あンだよ。恨み辛みが。