俺が。

——例えテメェが俺の全てを忘れても、俺がテメェの全てを覚えといてやる。

そして、ずっと側で語ってやる。そりゃぁもうウゼぇくらい。

だから。

——だから、テメェはもう、何も心配しなくて良い。

無事、家に帰ってきてくれた。
自分の意志で俺の側を選んでくれた。


——それだけで、十分だ。

記憶

久しぶりだね。取り敢えず、人違いじゃなかったみたいでほっとしたよ。

…でもさ、詐欺って言い過ぎだと思うんだけどなぁ。
いや、そりゃぁ外見は随分変わっちゃったけどさぁ…
そこは若返ったって言ってよ。デリカシー無いなぁ。

ぅん、でも…アレだね。

「拒絶」されちゃったね。
随分、警戒してたみたい。彼。

…何、そんなに思い出したくなかった？
触れちゃいけない場所に、触れちゃったのかな。

…ぅーん、でもね…逃げられると、追いかけたくなっちゃう、
厄介な性分なんだよなぁ…（頭がりがり）

軽そうに見えて、案外デリケートなのかも、彼。
男の人って、結構脆そうだよね？

女はさ、ほら。

案外、頑丈だしね。身も心も（ぁはは）

夜桜

偶には、二人きりで。
大きな桜の木の下、薄紅色に染まった川の流れを見詰めながら
花見酒——なんて、随分乙やなぃん？

そう言えば、ここんとこ二人っきりになった事って余り
あらへんかったし。いつもいつも、側には元気でやんちゃで喧しい
子供達がわらわらしとって——それはそれで楽しいんやけど、やっぱり
偶にはこういう時間もあってえぇと思ったよ。

月明かりに照らされたあんさんの顔は、何処か普段よりも色っぽく見えて…
酒が入っとったから、かも知れへんけど（はは）

けど、やっぱり嬉しかった。
また、二人っきりで、どっか一緒に行こうな…？