キャラの裏設定、とか（2）

今回は木槿編。見たい人のみ、次へ進んで下さい。

　　　【木槿】↓　　　
　　　浮気性の母親（純人間）が様々な人外と様々な場所で交わり
　　　様々な人外の遺伝子が混ざりに混ざった雑種を生み捨て、闇に消える。
　　　生み捨てられた赤子は驚異の速度で成長するも、浮浪児として
　　　夜な夜な裏街を彷徨き、塵漁りを続け、行き交う罵倒に憔悴する日々。
　　　そんな汚れた子供に救いの手を差し伸べたのは、異世界より舞い降りた
　　　俗称「魔王」。一転して変わる生活。子供は眠っていた力に目覚め
　　　何不自由ない生活を与えられる。——そして、それと同時に
　　　彼の「側近」として仕事も与えられる。「魔王」の餌探しと夜伽。
　　　餌探し——城内の地下室へ閉じ込められ、自由を奪われ、悲痛の叫び声と
　　　共に日々数を減らしていく若い女性の調達と、世話。
　　　「力無い者は力ある者に従うのが世の習わし」と、植え付けられる思想。
　　　数々の血と悲鳴と、誰かに抱かれる恐怖と暖かさをそれでも知る。
　　　矛盾する脳裏と葛藤しながらも、何処か機械的に霞んだ思考回路で
　　　送る日々は、されど突然終わりを告げた。

　　　「魔王」が突如、己の目の前で見知らぬ誰かに殺害されたから。
　　　　幾ら力があったとしても、更なる力を持つ存在が居る事を知る。
　　　　絶対的な根拠を持つ、滅ぶことのない力が存在しない事も、知った。

　　　　魔王の側近としての自分は其処で消える。だが、様々な因縁や
　　　　恨みの感情を携え、己を追う人々の輪はなかなか途切れず。
　　　　面倒だからと全てを終わらせようとした処で、出逢った一人の人間。
　　　　律宮柳。名のある旧家に生まれながら、妾の子として存在すら
　　　　認知して貰えぬという。そんな彼の傷を癒す事が出来ず、
　　　　互いに愛し愛されながらも、結局彼は孤独に命を絶った。

　　　　此処でも力のむなしさを知った。使いたい時に役立ってくれない
　　　　力など、要らないと其処で封印を決意。残った一つの能力で
　　　　生きていくための糧を得る手段もなんとか会得。

　　　　——その後は、それなりに気儘な野良猫生活。
　　　　次なる恋も、別れも、人との出逢いも。悲しみも、喜びも。
　　　　沢山経験し、そして此からも経験したいと前向きにひた走る日々。