長い夜

行きは少しだけ重たかった足取り。——帰りなら、もう少し重く。


見飽きた顔の某医者より告げられた言葉は、寧ろ警告だったのかも知れない。

体温

俺もテメェも、結局色々な事が解ってねぇンだよな、多分。
…や、解っているンだけど、気付きたくないだけなのかも知れねぇ。

恋愛感情とか一番とか、大事とか離したくねぇとか…。
何が恋で何が愛なのかとか、そんな面倒臭ぇ事は解らねぇし。

けど、テメェが居なくなったら少なくても淋しい。
布団に潜り込んで、足下で丸まって眠るテメェの体温が
消えたら、其れは其れで動揺もする。

…結局無理矢理纏めて強引に話を切っちまった感は否めねぇが…。

まぁ、アレだ。
側に居る。
テメェが望むなら、此の家の扉はテメェの為に開けておいてやる。
一人で死んだりしねぇ。

——今約束出来る事は、此くれぇだけど。

———嗚呼、後、キスな。

けしかけるンなら、もう少し上手くなってからにしろよ？

暴走

押さえてくれて、どうもな。

助かった、なんて言ってやらねぇけど、結構ヤバかったから。

まぁ、アレだ、名前は…まぁ、彼奴自身が覚えておけばそれで良いだろ。

驚く顔が見たいとか、言いやがったけど…悪かったな。
顔に出せねぇンだよ。寧ろ、眼球もねぇからなかなか表情には
なり辛ぇだろ。…まぁ、アレだな。急に寝込み襲われたりしたら
ちったぁ驚くかもな。…その前に斬るかも知れねぇがよ。